お知らせ
冬が近づいてくると例年、小児科では腹痛、嘔吐、下痢を主な症状として受診されるお子さんが増えてきます。ほとんどはノロウイルスなどを原因とするウイルス性の胃腸炎で治療としては対症療法になります。
昨年、日本小児救急医学会から「小児急性胃腸炎診療ガイドライン2017年版」が刊行され、小児科ではそれに基づいた対応をしています。この中で重要と言われているのは脱水に対する初期療法で、軽症から中等症の場合は、家庭でもすぐに始められる経口補水液(CMでなじみのOS-1Rなど)による脱水への対応が推奨されています。飲ませ方としては少量ずつ頻回に与え、嘔吐がなければ増量して飲ませる方法です。
手元に経口補水液がない場合に、自宅で作れる簡単な方法として水1に食卓塩3g、砂糖18gを溶かし作ることができます。風味づけとして柑橘系の果汁を絞って入れると飲みやすくなります。ただ緊急避難的な対応ですので、経口補水液が手に入れば切り替えて使用することも大切です。
食事については以前にはおなかを休めるためにしばらくは絶食にし、お粥から少しずつ始めるように言われたこともあったかと思います。しかし、ガイドラインでは脱水の補正ができれば早期からいつも通りの食事をとるように勧めています。時代とともに対応の仕方も変わってきます。
重症化が心配されるような症状(いつもより元気がなくぐったりしている、腹痛が続きだんだん強くなる、繰り返し吐く、下痢が大量に続くなど)がみられた場合はできるだけ早く病院を受診するようにお願いします。
平成30年12月発行 救急便り第117号より まえはら小児科 前原 幸治