お知らせ

急な血圧上昇について

高血圧の7割以上の方は血圧計を保有し、家庭血圧を測定していると考えられています。表にあるように、高血圧診断基準は家庭血圧でも確立されていることから、高血圧は診察室血圧および家庭血圧によって診断されています。診察室血圧は受診ストレスから少し高い基準になっています。

高血圧基準 収縮期血圧(上)            拡張期血圧(下)
診察室血圧 140以上     かつ/または       90以上
家庭血圧 135以上     かつ/または       85以上
血圧は心拍や呼吸などによって常に変動しています。また身体活動やストレスで大きく変動し、季節変動も見られます。よって、日頃の血圧を知ることは重要です。
しかし、いつもより血圧が高いと心配になり、さらに心配が血圧を上昇させます。
ではどのように血圧が上昇したら、急いで医療機関を受診したほうがいいのでしょうか?緊急性のある高血圧とは
 高度な高血圧(180/120 mmHg以上)になったら・・・1.高血圧緊急症
高度の血圧上昇(180/120 mmHg以上)があるだけではなく、その高血圧によって脳や腎臓、心臓、網膜などの臓器に急激な障害が進行し、なかった症状が出現している病態のことです。
脳の障害では意識障害、頭痛、悪心嘔吐、けいれん等を伴います。心臓では胸痛、腹痛や息切れなどを伴うものとして、解離性動脈瘤、心不全、心筋梗塞や狭心症があります。致命的になり得る病態のため、高血圧緊急症の症状が出た場合には、直ちに治療を開始する必要があります。迅速な対応が必要な上、重症化しやすいため「入院治療」が原則です。

2.高血圧切迫症
 高度な血圧があっても、心配で胸がドキドキする程度の症状では高血圧切迫症といってあわてる必要はありません。高血圧緊急症のような臓器障害がなければ、緊急に血圧をさげて予後がよくなるというエビデンスがないため救急受診の必要はありません。
 しかし、ほかに症状がなくとも160/100mmHg以上が続くなら、血圧を記録し早めに主治医を受診しましょう。血圧が高い人は、少しでも体に異常を感じたら、無理はせず主治医に相談しましょう。高血圧の診断を受けていない人も、気づかないうちに高血圧になっている場合もありますので、定期的に血圧測定をする習慣を身につけるようにしましょう。
平成30年3月発行  救急だより114号より
あいクリニック 明石 のぞみ