お知らせ
新型コロナウイルス感染症の影響により私たちの生活は一変しました。PCやスマートフォンなどのデジタル機器に接する時間は格段に増え、目にかかる負担は益々大きくなっているのではないでしょうか。今回は、我が国において視覚障害原因の第1位を占め、40歳以上の20人に1人は罹患するとされる緑内障についてお話したいと思います。
緑内障は眼圧(目の硬さ)が高くなることにより、眼球の後部にある視神経(目に写った像を脳へ伝達する神経)が障害され、視野が狭くなっていく病気です。眼圧が正常範囲内でも、視神経が障害される正常眼圧緑内障というタイプも存在します。特に日本人はこの正常眼圧緑内障が多くみられます。眼圧以外にも視神経の血流障害や遺伝が関係するという説もあります。 緑内障は、目の水(房水)の出口である隅角(ぐうかく)が狭い閉塞隅角緑内障と隅角が広く隅角の底にある網目状の排水溝が目詰まりする開放隅角緑内障の二つの型があります。閉塞隅角緑内障は中高年の女性や遠視の方に多く、眼痛・霧視・頭痛などの急性発作症状を起こすことがあります。しかし緑内障全体の8-9割を占める開放隅角緑内障は、進行しないと殆ど自覚症状を訴えません。 この病気の問題点は大きく2つあります。一つ目は多くの緑内障が自覚症状に乏しいため、症状を訴え受診した頃には病気がかなり進行していることです。自覚症状が乏しい理由は、病気の進行がゆっくりであること、そして左右の目で進行速度が異なるため、両眼で見ていると気づかないからです。もう一つの問題は、現在の医療では一度障害された視野を回復させることができない点です。 治療は、開放隅角緑内障の多くは眼圧を下降させる点眼薬から開始します。 点眼薬で進行が抑えられない場合はレーザー治療、手術治療などを行います。閉塞隅角緑内障は手術療法が行われますが、緑内障の前段階である閉塞隅角症で発見されれば、急性発作を回避できるレーザーや手術療法があります。 令和3年6月発行 救急便り127号より |