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果物って体にいいの??

みなさま、はじめまして。多摩かぜまち内科クリニックの田中健一郎といいます。自分は、糖尿病・高血圧・高脂血症・甲状腺を専門としております。今回は糖尿病・肥満に関わりの深い糖分、特に果物に含まれる果糖(フルクトース)についてお話ししたいと思います。

みなさまは果物をどのくらいの頻度で食べていますか?好みによって大きく違うかとおもいますが、人によっては、主食がわりに果物を食べている方もいらっしゃるのではないでしょうか?糖質にはいくつかの種類があり白米はブドウ糖(グルコース)に分類され、果物は、果糖に分類されます。ブドウは霊長類(ヒトもそうです)のインスリン濃度をあげて満腹感が得られるのですが、果糖はその作用がなく、果物を食べ続けてしまい肥満になります。

かつては甘いものは、夏の熟した果物か、時折手に入る蜂蜜ぐらいでした。数万年におよぶ人類及び動物の食生活において、果物は季節のもの、すなわち1年に1時期だけ(限られた地域だけで)食べることができたのです。
それが100年間の社会変化により大きく変わりました。輸送の発達により地域限定性がなくなり、遺伝子組換えを含む栽培技術により時間限定性を超え、ほとんどの果物が1年中スーパーマーケットにならんでいます。

しかし、忘れないでください。本来、ヒトも動物も1年中果物を摂取できるようには作られていないのです。それは滅多に食べられない文字通り禁断の果実です。そのため食べられる時には、沢山無限に食べろという欲求が脳の中にプログラムされているのです。それは飢餓が常にあり、食料の少ない冬を乗り切るのが困難だった時代では重要なものでした。

また、果糖には、すい臓がんの発症リスクを上げる報告が多数あります。因果はもちろん不明ですが、若い頃からフルタリアン(果物食主義)であった、アップルコンピューター創業者のスティーブ・ジョブス氏は56歳ですい臓がんのため他界されています。

果物の取りすぎは体に良いことは全くなく、むしろ有害です。毎朝フルーツを食べることは、チョコレートや大福を食べることと変わりません。健康のために、旬の果物を、決して過剰摂取することなく食べるようにしましょう。

 

令和2年6月発行 救急便り第123号より
多摩かぜまち内科クリニック 田中 健一郎 先生