お知らせ

~冬の入浴~

温かいものが恋しくなる季節となりました。寒い冬には、湯船に湯を張ってのんびりつかって、体を芯から温めたくなりますが、今回は、体も心も温めてくれる“お湯につかる”ということの少し怖い側面についてお話しいたします。冬場になると高齢者の入浴中の死亡例が急増するということは、すでに多くの方がニュースなどでご存じでしょう。入浴という、ごくありふれた習慣の最中に、大切な家族を突然失ってしまうのは、とてもつらく悲しいことです。入浴という一連の行為は、脱衣所→浴室洗い場→浴槽内→洗い場→脱衣所→室内、と裸で温度差のある場所を移動するため血圧変動を伴うことが知られております。冬はその変動がより激しくなり、ヒートショックと呼ばれています。加えて高齢者は環境変化への体の順応が困難となるので更に激しくなります。急激な血圧変動は、入浴のどのタイミングでも体に負担がかかりそうですが、実際は脱衣所や洗い場より浴槽内での死亡例が圧倒的に多いのです。お湯につかるということによって起こる、血圧を含む様々な変化が、高齢者の体にはより負担をかけるのかもしれません。

東京都健康長寿医療センター研究所は

1) 長湯をせず39~41度くらいの湯温で。

2) 脱衣所、浴室の室温を温かく。

3) 食事直後、深夜には入浴しない。

4) 寒い日には夜早めに入浴。

5) 心臓、肺の慢性疾患、高血圧症のひとは半身浴が望ましい。

と注意を促しています。

また同居されているご家族は、変わりがないか時々様子を見に行く事が重要と思います。

平成27年12月発行 救急便り105号より 新垣内科外科クリニック 院長 新垣美郁代